特集 「私のからだは私のもの」から始める初期中絶のケア
医療現場で人工妊娠中絶に関わる助産師の意識と葛藤
杵淵 恵美子
1
1駒沢女子大学看護学部
pp.534-538
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202362
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助産師の意識調査の結果
日本助産学会SRHR/ACワーキンググループ(JAM Sexual and Reproductive Health and Right/Abortion Care WG)の活動において,助産師グループでは国内の助産師を対象とした人工妊娠中絶(以下,中絶)やアボーション(中絶)ケアに対する認識について量的・質的調査を実施した。その分析結果の詳細は論文1)に譲り,ここでは概要2,3)を紹介し,筆者の考えを述べたい。
調査回答者のうち妊娠初期の中絶ケア経験がある者は約84%,妊娠中期の中絶ケア経験がある者も86%おり,初めて携わった時期は入職1年目が初期中絶において約54%,中期中絶は約37%だった。中絶に対する認識として,「中絶は女性の権利」と回答した助産師は27%,「状況による」は約55%,9.6%は「女性の権利というのは問題・胎児の権利が無視されている」と回答していた。女性に「性と生殖に関して自己決定する権利」があることを知っている助産師は95.9%であったが,中絶に関しては,助産師の約3割のみが女性の自己決定権を認め,約6割は条件付きでリプロダクティブ・ライツ(生殖に関する権利)とみなしていた。
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