特集 保険適用の議論の前に知っておきたい 出産とお金のはなし
扉
pp.223
発行日 2024年6月25日
Published Date 2024/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202285
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2023年に行われた出産育児一時金の見直しに伴い,近年,出産費用の本人負担が重くなっていることがさまざまなメディアで報じられるようになりました。安全で安心な周産期医療体制の維持や手厚いケアにはコストが必要,でも産む人の負担が大きくなっては困るし,そこで働く人の働き方や働きがいも犠牲にしたくない……。このように,お金を考えることは,体制やあり方を考えることに直結します。
2024年5月から,厚生労働省による「出産費用の見える化」ウェブページがスタートし,2026年を目指して出産費用の保険適用の検討が進められています。こんなときだからこそ,そもそも今の出産費用はどういうしくみで成り立っているのか,また海外ではどんな出産サービスが,どんな体制で,どのくらいの費用で行われているのか,見直してみませんか。
国によっては,保険適用や周産期医療体制の改革をきっかけに,助産師という専門職の養成がストップしたり,出産施設の集約化が一気に進んだりしたこともあったようですが,一方で女性と助産師が声を上げることで,継続ケアや女性主体のお産が実現しやすい体制整備が進んだ国もあるようです。
日本においても,周産期医療体制のあり方を左右する議論がさまざまな場所で進んでいます。そこに女性と助産師の声をいかに反映していくかが,今,私たちに問われているのではないでしょうか。
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