実践報告
安全な無痛分娩の麻酔を提供するための「無痛分娩カート」の紹介
井出 悠紀子
1
,
坪井 さやか
2
,
山内 千世里
2
,
岩佐 葵
1
,
伊奈川 岳
2
1横浜市立市民病院
2横浜市立市民病院麻酔科
pp.572-577
発行日 2023年12月25日
Published Date 2023/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202222
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はじめに
本邦における無痛分娩の割合は年々増加傾向にある1)。当院でも,無痛分娩を希望する産婦のニーズに対応できるように,2020年に産科,助産師,麻酔科,薬剤師などで構成されたワーキンググループを立ち上げ,安全で満足度の高い無痛分娩を提供するための院内体制づくりに取り組んでいる。具体的には,マニュアルや説明書・同意書の作成,薬剤や機材の配備,症例検討会(1回/月)や勉強会の開催,危機対応シミュレーションの実施など,多職種で協力して行っている。
薬剤や機材の配備について,2018年に示された「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」2)の中では,気道確保や蘇生にも対応できる整備が求められている[表1]。当院でも,提言に準じた体制を整えるためにワーキンググループ内で協議し,無痛分娩の麻酔を安全に実施するための物的資源の整備として,薬剤や物品を搭載した専用のカート(以下,無痛分娩カート)を作成した[図1]。
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