読者の声
ICM第33回国際会議に参加して
菊地 栄
1,2
1立教大学
2リプロ・リサーチ実行委員会
pp.498-499
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202204
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南半球の楽園と称されるインドネシアのバリ島で,2023年6月11〜14日,ICM(International Confederation of Midwives)第33回国際会議が開催された。同会議はパンデミックの影響で1度延期となり,前回から6年ぶりの大会となる。「再び一緒に:エビデンスから現実へ」というテーマに現れているように,集まった130カ国,2400人を超える助産師と医療専門家たちは,対面で再会できた喜びを分かち合い,連日会場は熱気に溢れていた。多くの会議やワークショップ,口演やポスターでの発表が行われ,ICMによると日本からは151人が参加した。私はリプロ・リサーチ実行委員会としてポスター発表をしたが,およそ400本のポスターセッションのうち日本からのエントリーは79本あった。少子化の先進国とは対照的に,人口抑制が課題のアフリカやアジアの国々ではバースプランや当事者教育などが課題として取り上げられ,国によってリプロダクションの基礎が異なっているのが印象的だった。
メイン会議ではウクライナとハイチから助産師が登壇し,戦禍で資源が不足する中で母子を守ってきた姿が紹介された。ウクライナのヴィラ・ツェリクさんが「防空壕の分娩室で,42日間に136人の赤ちゃんを取り上げた」と困難な体験を語ると,地鳴りのようなスタンディングオベーションが起こり,会場は共感の渦に包まれた。
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