レポート
—生まれてすぐからできる—正しい姿勢運動発達促進のためのベビーケア—バランシングセラピー®とKISS症候群
カーティー 倫子
1,2,3
1一般社団法人国際母子ケア協会
2カーティー助産院
3アクエリエル京都
pp.216-219
発行日 2019年3月25日
Published Date 2019/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201222
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はじめに
ドイツから講師を迎え,日本初のバランシングセラピー®インストラクターが誕生して今年で3年目となります(写真1)。生後すぐから取り入れられるハンドリングテクニックを含むバランシングセラピー®と,日本では見落とされがちで向き癖と混同されてしまうことの多い,KISS(Kinematic Imbalance due to Suboccipital Strain)症候群について紹介します。
私は1997年に開業助産師となり,ベビーマッサージ教室を通じて多くの赤ちゃんの発達に携わってきました。2018年度から「赤ちゃん発達相談室」も開設していますが,来所する赤ちゃんには,頭の歪みだけでなく姿勢運動発達にも歪みを来しているケースが多く見受けられます。この現状の根本的な理由は何なのかを探ろうと文献を読んでいるうちに,「斜頭症」と呼ばれる病的な頭蓋骨変形があることを知り,さらにはその対象となる赤ちゃんのための「リモルディングヘルメット治療」もあることを知りました。現在では,この治療法は斜頭症だけにとどまらず幅広い変形タイプに対応するようです1)。
しかし,私のところに来所する赤ちゃんたちは,この「病的な頭蓋骨変形」とされる骨癒合の問題を抱えてはおらず,いわゆる「向き癖」といわれている頭の変形,つまり赤ちゃんが日常ケアの中で寝かされている姿勢が引き起こす問題である場合がほとんどであることに気付きました。しかしながら同時に,前述した2つ以外の要因も存在し,そのことについては日本ではあまり認知されていないことも理解しました。
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