特集 習慣化されたケアをエビデンスから検証する
院内助産は本当に安全なの?
大田 康江
1
1順天堂大学大学院医療看護学研究科
pp.938-940
発行日 2018年12月25日
Published Date 2018/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665201147
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Research Question
助産師が主導する院内助産における分娩は,安全性が確保されているのか,されていないのか。
Answer
コクランのシステマティックレビューでは,ローリスク妊産婦を対象とする助産師主導のケアモデルは,ほかのケアモデルと比較して周産期予後に有意な差はみられず,医療介入が少なく,妊産婦の満足度が高いことが報告されている。この研究の結論では,合併症のないローリスク妊産婦は,助産師主導のケアが提供されるべきであるとしている。
また,わが国においても対象者数が少ないが検証が行なわれており,院内助産が産科病棟に比べて,母体合併症や児の有病率について安全性が低下するという明らかなデータはなく,院内助産の分娩の安全性は保たれているとしている。しかしながら,たとえローリスクであっても院内助産群の22.5%が分娩中にリスクを発生し,児の娩出までに医療介入が必要になったこと,初産婦においては45.6%が医療介入を必要としたことも明らかにしており,院内助産の分娩の安全性の担保には,産科医師と助産師の協働が不可欠であるとしている。わが国の院内助産体制におけるエビデンスはいまだ不十分であり,さらなる質の高いエビデンスの蓄積が望まれる。
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