特集 70巻記念号 『助産雑誌』と私の歩み
【私と助産雑誌】
新生児科医の私が周産期母子医療にかかわるようになった理由
仁志田 博司
1
1東京女子医科大学
pp.38-40
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200396
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『助産雑誌』とのかかわり
『助産雑誌』が70巻を迎え,長きにわたってわが国の母と子の福祉に貢献されてきたことに敬意を表するとともに,40年余,新生児科医として周産期医療の世界で助産師の皆様方とともに働いてきたなかで,本誌にまつわるいくつかのエピソードを述べる。
医学書院から刊行され,現在第4版となる『新生児学入門』の始まりは,1985年から本誌に連載された「新生児理解のための基礎講座」である。連載をまとめた本書は,母子医療の現場から学んだ考え方を中心に書いており,教科書やマニュアルとは異なる副読本の立ち位置であるが,幸い多くの助産師および看護師の方々に愛読されている。また,2015年に上梓した『出生と死をめぐる生命倫理──連続と不連続の思想』(医学書院)も,やはり本誌に2013年から2015年まで連載した「周産期の生命倫理をめぐる旅──あたたかい心を求めて」を基にした本である。特に後者は,母と子の2つの命を預かる分娩の現場で仕事をする助産師にとっては,近年の高度に発達した周産期医療で遭遇する機会が多くなった予後不良の事例や,出生前診断などがもたらす生命倫理からの判断を迫られる時に,どのように対応するかを考えるうえで必須な事柄を記載している。
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