連載 やっぱり知りたい少子化のはなし・10【最終回】
福島に続け──低料金で誰でも手が届く助産師のケア—福島県助産師会の母子支援事業
河合 蘭
pp.1014-1020
発行日 2015年12月25日
Published Date 2015/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200370
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災害時の助産活動で気づいたもの
「少子化対策」と呼ばれるわかりにくいものを調べてきたこの企画も今回が最終回になる。最後の取材で,私がぜひ行きたいと思ったのは,近年でもっとも急激な子どもの減少を体験した地域──福島県だった。
2011年に東日本大震災と原子力発電所の爆発事故を経験した福島では,その翌年に若い人を中心とした著しい人口流出が起き,浜通り地域では出生数が震災前年との比で16.9%も減少した。福島県全体の出生数も,震災の前年には1万6126人だったが,震災翌年には1万3770人に落ち込んだ(厚生労働省「人口動態統計」2010,2012)。そして,福島に残りこの地で産み育てていくことを選んだ人たちも,原発事故がもたらしたストレスを抱え続けている。これは,福島の未来にとってとても深刻なことだ。
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