研究・調査
聴覚障害のある女性の出産における助産ケアに関するパイロットスタディ
穴井 華菜子
1
,
梅野 貴恵
2
,
石岡 洋子
2
,
樋口 幸
2
,
安部 真紀
2
,
小野 美喜
3
1元 大分県立看護科学大学看護学部
2大分県立看護科学大学助産学研究室
3大分県立看護科学大学成人・老年看護学研究室
pp.426-431
発行日 2015年5月25日
Published Date 2015/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665200206
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緒言
聴覚障害のある女性の出産に立ち会うことは稀であるが,障害の有無にかかわらず,すべての女性のもつ力を最大限に引き出せるように分娩にかかわっていくことは助産師の重要な役割である。
コミュニケーションをとるうえで重要な手段である「聴くこと」が障害されると,対象者と看護職者の意思疎通が難しくなり,分娩においてもさまざまな支障が生じてくることが予想される。助産師が産婦とのコミュニケーションをうまくとれず,信頼関係を築けなければ,産婦の出産体験の満足度は低いものとなる1)。出産体験が満足できるものであったかどうかはその後の母親の心理や育児にも影響する2)と言われていることから,助産師は女性にとって大きなライフイベントである出産を満足のいくものにできるよう支援していくことが重要である。
しかし,助産師が聴覚障害のある女性の出産をどのように支援していくかについて具体的に述べられている先行研究は少ない。そこで,本研究は聴覚障害のある女性の分娩期のケアを体験したことのある助産師にインタビューを実施し分娩時の場面の再構成をすることで,聴覚障害のある産婦が満足する出産体験とするためには助産師としてどのような支援を行なう必要があるのか検討することを目的とする。
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