- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
京都大学では,2011年4月から修士号資格と助産師国家試験受験資格を取得できる高度実践助産学系(以下,本系)を設置し,国立大学でもっとも早く大学院において助産師教育を開始した。本系の目的は,母性看護・助産学に関する高度実践と基礎研究を推進し,母性看護・助産学の学問体系の構築・確立を図り,その成果を社会(特に日本や国際社会の未来を担う母子とその家族)に還元していくために,独立・自律して高度な助産活動を実践・研究・開発・体系化し,幅広い視点から現代社会(妊産褥婦・女性・家族等)の多種多様なニーズに応える拡大した役割を担うAdvanced Nurse-Midwifeを育成することである。
本系の教育課程は,①高度な診断・拡大した役割を行なうために必要な医療機器等の専門的知識と診断力の習得(専門的診断力),②高度な実践・拡大した役割を担うための専門的知識と技術力の習得(専門的技術力),③管理・経営に必要な理論と方略の習得(管理力),④高度実践者および経営者に必要な業務評価・改善およびケア開発に必要な基礎的研究能力を育成するための総合研究科目(探求力・変革力),⑤対象の立場や心に沿うDoula(ドゥーラ)体験の導入など多様な実習形態(人間力),⑥国際的視野を養うための国際助産実践等(国際力)の6つの能力を習得できるような科目から編成している。
今回,⑥の目標である国際的視野を養うために国際助産実習(助産学総合実習Ⅱ)の授業の一環として,アメリカ合衆国Oregon Health & Science University(以後,OHSU)の助産師教育および助産師活動の視察を行なったので,その実際を報告する。
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.