研究・調査
母性看護学実習における助産院見学実習の意義―学生が捉えたA助産院におけるケア
新宮 典子
1
,
岸田 泰子
2
1前 島根大学医学部看護学科
2甲南女子大学看護リハビリテーション学部看護学科
pp.795-800
発行日 2009年9月25日
Published Date 2009/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101511
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はじめに
近年の少子化や分娩施設減少の問題は,看護学生における母性看護学実習の展開にも少なからず影響を与え,実習施設や受け持ち妊産婦の確保に苦慮する場合もある。このようななか,妊産婦と学生が共に,より健康的な母性性や母性観を育みながら,効果的に実習目標を達成することは大きな課題である。
B大学は,2002(平成14)年度より母性看護学実習の一環として5年間にわたり助産院見学実習を取り入れた。この間のべ236人の学生が地元の有床助産院を訪問し,病院実習とは違った立場から母子保健の現状を学ぶ機会を得ることができた。特に,健康的な視点から捉えた妊娠・出産・産褥期の看護ケアや地域母子保健活動,さらに病院と地域との連携の実際などを具体的に理解することにおいて,その役割は大きいと考えられる。また,助産院実習を体験した学生たちは,普段とは違う生き生きとした表情で実習から戻ってきた。
長年,命が育まれてきた助産院という現場で,学生たちは熟練した助産師と接することによって何を体験し,感じたのだろうか。看護学生が助産院見学実習を行なうことの意義を明らかにするために,5年にわたる「助産院見学実習グループレポート」の内容を分析した。
本稿の目的は,助産院見学実習における学生の気づきを明らかにすることである。そして看護学生の視点から,A助産院におけるケアの概念図の作成を試みた。
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