連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・64
環境に適応しながら生きる
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.650-651
発行日 2009年7月25日
Published Date 2009/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101478
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見事な通訳に,思わず…
「皆さん,食事の前には必ず石けんを使って手を洗うようにしましょう! 手に付いているばい菌が身体のなかに入らないようにするためです」
もう14年以上も前,赤十字のスタッフがアエタ族の集落に入り公衆衛生の指導を行なっていた。ちょうど,アエタ族の助産師と一緒に集落で暮らしていた時の話だ。タガログ語(共通語)から,彼らの言語ザンバルアエタ語へ訳される。通訳をしているのは集落のリーダーだ。大きく皆の前に手を開いて見せ「いいか! みんな手を絶対に洗うなよ! 俺たちの手にはたくさんの精霊(守り神)が付いている,こいつらの言うとおりにしていたらその精霊が取れてしまうぞ,手は洗わなくても大丈夫だ」
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