レポート
身体観の変容過程からみた身体技法―古屋労働をする妊婦を通して見える姿
田中 知子
1
1日本赤十字社医療センター
pp.518-521
発行日 2009年6月25日
Published Date 2009/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101452
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はじめに
本レポートは,妊娠期の「自然出産に向けての身体づくりにより,出産,育児期の身体技法の地平がどのように導かれるのか」という視座から身体技法*1を問い直すものである。身体技法の習得される過程は,人々の心理的なものでもあり,生理学的なものでもある。筆者は今回,愛知県岡崎市にある吉村医院で古屋労働*2をする妊婦たちの「身体観」を中心に調査を行なった。妊婦たちにそれまであった身体観,世界観がどのように変容し,出産,育児期の身体技法となっていくのだろうかという点に最も注目した。
また,本レポートは医療人類学的観点から調査したものである。対象となる妊婦たちと行動をともにし,交流をしながらその妊婦たちの間にある共通した考え方や行動様式を見出すことが可能であるという見通しのもと,研究に着手した。妊婦同士がリアルに出会い,自然出産の文化が紡がれる場は絶好の機会となった。そこで,身体性を生かした身体技法についての新しい見解を本稿で提示していきたい。
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