レポート
グァテマラ共和国ウエウエテナンゴ県における先住民女性のリプロダクティブ・ヘルス
常田 美和
1
1元 日本赤十字北海道看護大学
pp.978-983
発行日 2008年10月25日
Published Date 2008/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101316
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内戦終了後のグァテマラ訪問
14年前,私が滞在していた時のグァテマラ共和国は内戦状態にあった。観光で訪れた街が次の週にはゲリラに制圧された,というニュースを見て寒気がした思い出がある。街には綺麗な民族衣装を身にまとった先住民の女の子が,小さな赤ちゃんを抱いて歩いており,10代の母親が多いことに驚いた。ある日,病院のロビーで,先住民の母親が赤ちゃんを抱いて「いつまでも診てもらえない。この子が死んだら,あなたたちのせいだから!」と絶叫し,その赤ちゃんだけを残して病院から出て行く場面に遭遇した。どんなに緊急でも,貧しい患者は後回しにされるという現実を見た。
今回の調査でグァテマラに14年ぶりに訪れてみると,大統領選挙を控え選挙ムード一色であった。なによりも,先住民女性が初めて大統領選挙に立候補しているということが,時代の変化を感じさせた。成人の識字率が女性63%,男性75%(2006年)1)と低いため,候補者は色や手の形をプロパガンダ*に使っている(写真1)。
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