連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・54
産婆と家族の間にあるおかしな上下関係
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.874-875
発行日 2008年9月25日
Published Date 2008/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101297
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付き添いでクリニックへやってくる産婆
産婆にとってお産は大きな収入源である。クリニックにも,ときどき産婆が付いてくる場合がある。産婆が最初呼ばれたが,すぐに生まれないなどの理由から不安を募らせた家族がクリニックへ運ぶことを望んだ場合などだ。産婆は,途中までにしろお産の世話をしたのだからお金をもらう権利はある,という理由で付いて来るのだ。
本来,ほとんど何もしなくてもお産は自然に進み,生まれてくることが多い。しかし,異常になるお産があるのも事実だ。母体や胎児の死亡という最悪の結果になることもある。普通の神経なら,自分が誰かの死に直接かかわった事実に耐えられないのではないかと思うが,こういう産婆たちは結構平気だ。そのうえ弁も立つ。母体死亡に対して「あの子の胎盤が腐っていた。毒が回ったんだよ!」とか,死産に対しては「子どもの心臓に病気があったね」とか「羊水がなくなったから,乾いて死んでいた」とか。とにかく根拠のない原因を,胸を張って言い切る人が多い。だから,産婆をやっている人はとりあえず要注意,と私は考えている。
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