連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・35
母の祈りと里子ブローカーの存在
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.168-169
発行日 2007年2月25日
Published Date 2007/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100959
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出産の笑顔の裏にあるもの
いろいろな場面で人が祈るのを見てきた。罪を告白し,苦しみや悲しみを祈りで浄化しながら人々は生き続ける。貧しい母親の祈りの影には彼女たちでは逆らえない運命が見え隠れする。
サニーはこのお産が4人目になる24歳。陣痛の間,小さな聖書を握って,声が出そうになるとお祈りの言葉を呟いていた。「大丈夫?」と表情で尋ねると必ずにっこりと笑って応えてくる。一言も助けてと言わず陣痛に対して前向きな彼女の姿は好感が持て,楽にお産が終わり元気な赤ちゃんが生まれるように,こちらも祈る気持ちで付き添えた。
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