特集 命をめぐる「話し合い」のガイドライン
プロセスとしての話し合い―この子の最善の利益のために
野崎 亜紀子
1
,
玉井 真理子
2
1広島市立大学国際学部
2信州大学医学部保健学科
pp.492-496
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100748
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はじめに
「重篤な疾患を持つ新生児の家族と医療スタッフの話し合いのガイドライン」は,「重篤な疾患を持つ新生児」に対して,どのような治療が行なわれるべきかを決定するプロセスに着目し,そのプロセスをいかに経るべきかの道筋をガイドすることを目的としている。したがってこのガイドラインは,児に対してAないしはBという治療を行なうべきであるというような,選択すべき治療についての具体的な基準を与えてくれはしない。このガイドラインは,治療を決定するに至るプロセスに,患者(重篤な疾患を持つ新生児)とその家族,ケア提供者を含めた医療スタッフ,そしてその他コメディカルの人たちが,各々の立場からかかわることを想定している。
要するに,本ガイドラインの意義は,これまで「どのような治療を行なうか」という決定内容に焦点を当てて取り組まれてきた“重篤な疾患を持つ新生児の医療”問題という難問に対して,決定内容ではなく時間的・空間的に継続する「話し合い」,つまりプロセスという観点から取り組むことを提案したことにあるといえる。
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