連載 今月のニュース診断
患者としての新生児・その2―赤ちゃんのみとり/治療停止
斎藤 有紀子
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1北里大学医学部医学原論研究部門法哲学・生命倫理
pp.474-475
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100745
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- 文献概要
死にゆく人の権利
昨年,本コラムで,重篤な障害新生児の治療停止について触れた(vol.57 No.12)。今回,そこで論じ残した「子どもの安らかな死」について,考察したい。
デヴィッド・ケスラーは,死にゆく人の権利として次のものを挙げている(「死にゆく人の17の権利」集英社1998)。①生きている人間として扱われる権利,②希望する内容は変わっても希望を持ち続ける権利,③希望する内容は変わっても希望を与えられる人の世話を受け続ける権利,④独自のやり方で,死に対する気持ちを表現する権利,⑤自分の看護に関するあらゆる決定に参加する権利,⑥必要なことを理解できる,思いやりのある,敏感な,知識のある人の介護を受ける権利,⑦治療の目的が「治癒」から「苦痛緩和」に変わっても,引き続き医療を受ける権利,⑧すべての疑問に正直で十分な答えを得る権利,⑨精神性を追求する権利,⑩肉体の苦痛から解放される権利,⑪独自のやり方で,痛みに関する気持ちを表現する権利,⑫死の場面から除外されない子どもの権利,⑬死の過程を知る権利,⑭死ぬ権利,⑮静かに尊厳を持って死ぬ権利,⑯孤独のうちに死なない権利,⑰死後,遺体の神聖さが尊重されることを期待する権利。
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