連載 今月のニュース診断
みとりの場としての病院を考える
斎藤 有紀子
1
1北里大学医学部医学原論研究部門法哲学・生命倫理
pp.882-883
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100290
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遺族
今年は,日航機が御巣鷹山に墜落してから20年であった。多くの回顧番組で,「遺族のいま」も報じられた。多くの人が亡くなった家族とともに「遺族としての時間」を生きていた。繰り返し報じられる当時の映像のなかには,体育館に並んだ3,000あまりの棺と,家族確認のために通う遺族の姿があった。事故の犠牲者は520人だが,身体の一部分が収められた棺の数が,それだけの数に及んだのである(NNNドキュメント'05「あの夏,御巣鷹山」8月14日ほか)。
阪神大震災の時は,5,000あまりの遺体が安置所に収まりきらず,野外にまで並べられたという。「故人の尊厳が守られるべきでは」と,その後,備蓄用の段ボール製棺を考案した防災コンサルタントもいる。「白い紙で覆ったらどうか」「子ども用もあったほうがいい」など意見を出し合ったが,自治体からの受注はまだ無いらしい(日経第 2部日経マガジン 8月21日)。
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