特別寄稿
ヨーロッパに学んだこと日本に学ぶこと
米塚 昌代
1
1助産師
pp.371,442-447
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100735
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
私がドイツに行った理由
私は助産師として総合病院と大学病院の産婦人科で働いていました。そこでは「管理されたお産」が主流。正常な分娩に対しても管理的な介入をしていたように思います。当時の私は違和感を覚えながらもその日の業務をこなすのが精一杯の状態でした。しかし,そんな中でも「お産は自然なもの」という考えが常に頭にあり,正常に経過しているケースになぜ医療介入をしなければならないのかいつも疑問を感じていました。陣痛促進剤の使用,長時間のモニタリング観察に仰臥位分娩。そのようなお産を見るにつけ,私は妊婦さんが薬剤を使用しないで自然に,効果的に分娩第1期を経過し,スムースに分娩第2期に臨むためにどんな援助ができるかを考えました。
そんな矢先,ある医療雑誌でアロマセラピーについての記事を目にして,強く興味を持ちました。アロマセラピーはホリスティックケアの1つで,自然の香りを利用してホルモンバランスを整えたり,精神的な効果を得られます。その記事にはアロマセラピーはイギリスをはじめとするヨーロッパの病院で使用されている,とありました。初めて出産を経験する妊産婦さんの場合,分娩という初めての体験への気の焦りや恐怖心が,スムースな経過を妨げてしまうことがあリます。私はそういう緊張をアロマセラピーで解消できないだろうか,と思いました。そして,イギリスではどのようにアロマを使用しているのか,現地に行って現状を見てみたいと思うようになりました。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.