特集 「技術教育」のあり方を考える
[総論]助産学教育における技術教育の現状と将来的展望
我部山 キヨ子
1
1三重大学医学部看護学科
pp.197-202
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100683
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はじめに
従来の看護職の養成教育が技術教育中心であったのに対して,大学における看護学教育は,看護専門職として広い教養基盤に支えられた豊かな人間性の上に最小限の知識・技術を体得し,卒業直後といえども適当な指導助言の下に独力で看護ケアを行なうことができる実力を身につけることを目指している1)。
しかし,1970年以降,新卒看護職者の技術能力低下,特に大学教育を受けた学生の臨床能力のなさが指摘されるようになった2)。事実,竹内ら3)は新卒看護師に対して医療事故防止上必要と思われる知識と技術の習得状況を調査し,大卒者の習得率が有意に低いと報告している。
保・助・看護学教育を比較すると,助産学教育においては臨床実習を含む技術教育のウエイトが大きいことは多くの人が認めるところである。大学における看護基礎教育課程の中で助産学教育を行なう施設が過半数に達し(2003年の助産師課程,専門58校,大学65校,計123校),大学卒の助産師が臨床に出るにつれて,助産学教育においても分娩介助例数の少なさや技術能力の低さが指摘されるようになってきた。しかし,大学卒の助産師数が増加してきたのはつい最近のことであるため,養成施設別の助産学生の臨床能力に関する系統的調査はほとんどない。そこで,本稿では助産学教育における技術教育の現状と将来的展望について述べる。
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