特別企画 国立国際医療センターでのHIV陽性妊婦の支援
③助産師としてHIV陽性妊婦に関わって
三島 典子
1
,
井上 冨貴子
1
,
石川 真由美
1
,
与那嶺 辰美
1
1国立国際医療センター産婦人科病棟
pp.1060-1065
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100633
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はじめに
当センターでは,HIV陽性妊婦に対して,エイズ治療・研究開発センター(以下,ACC)の医師とコーディネーターナースからHIV感染症とその治療,今後の見通しなど十分な説明が行なわれている。そのうえで妊娠継続の自己決定がなされ,その後も治療計画の説明や相談対応などの心理・社会的な援助が行なわれている。
私たち助産師は,妊娠継続の自己決定が行なわれた後,そのチームの一員として,妊娠中から関わってきた。そしてそこで,私たちは次々と決められていく治療方針の中で,妊婦たちが自分自身の体の不安や児への薬の影響,止乳(断乳)など大きな心理的負担を抱えているという現実を知った。そして,そのような現実に目を向けるなかでHIV陽性の背景を持ちながらも母となることを選択した女性たちが,妊娠出産を肯定的に受けとめ,育児や新しい家族生活に向けて出発することができるよう支援することの大切さを切実に感じるようになっていった。
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