特別寄稿
親が行なう包皮翻転法へのコメント
岩室 紳也
1
1神奈川県立厚木病院泌尿器科
pp.156-157
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100471
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- 文献概要
●包茎のEBM(Evidence Based Medicine)?
「包茎」,「真性包茎」,「仮性包茎」の定義について10人の泌尿器科医に聞けばおそらく10通りの答えが返ってくるでしょう。子どもの包茎をどう扱うかについては学会でさえも議論に決着がついていません1)。そんな中で今回助産師さんが包皮翻転法について親と子の視点で検討をされたことはすばらしいことだと思います。私自身反省を込めて告白すれば,実は包茎の手術が得意で大好きな医者でした。何の疑問も持たず,ただ「むけませんね,手術しましょう」という医者でした。しかし,「包茎って何?」,「もしかして包茎は手術がいらないのでは?」,「いつからむくかについて科学的なデータはない?」と考え,実際にむくようになってみると手術なんていらないという結論になりました2)。
●むくメリット,デメリット
そもそもむけないおちんちんは不潔です。「ミミズにおしっこをかけるとおちんちんが腫れる」というのは一理あります(図1)。不潔な手で外尿道口付近を触ると包皮内に細菌が進入し亀頭包皮炎を起こします。しかし,むいて洗えば亀頭包皮炎は予防できます。思春期に包茎で悩む子ども達が多い中で,早くから「かぶれば包茎,むければOK」ということを理解すれば悩まずにすみます。ただ,いいことばかりではありません。何より乳児を抱えた親がしなければならないことが増えます。それに包皮翻転が必ずしも十分理解されていない中で「昔はそんなことはしなかった」と言われると親も混乱します。そこのサポートがこれからの課題です。
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