特別寄稿
アフリカの“音なき戦争”HIVに挑んだ10年―第14回毎日国際交流賞を受賞して
徳永 瑞子
1
1アフリカ友の会
pp.1,60-64
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100452
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「受賞者」を代表して
1971年,私は初めてアフリカの地に足を踏み入れました。当時,助産師としてザイールで活動を始めた私は多くの人々と巡り合いました。ところが,貧しい村の暮らしから都会へと出ていった私の友人達は,そこでHIVに感染し,次々に死んでいったのです。「彼女が死んだ」「彼も亡くなった」。現地の神父から友人の死を告げられるたび,私はHIVの問題の深刻さと恐ろしさを考えさせられました。そして,ここでの経験がHIVの問題に向き合う私の原点となりました。
1993年に,「アフリカ友の会」を立ち上げて,中央アフリカ共和国の首都バンギでHIV感染の拡大防止に取り組み始めてから,ちょうど10年が経ちました。「石の上にも3年」という言葉がありますが,私達の活動は3年間ではなにも変えることができなかったというのが実感です。けれど,10年目を迎えた今,少しずつなにかが変わり始めたと思えるようになってきました。
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