2頁の知識
農夫症と冷え
若月 俊一
1
1長野佐久綜合病院
pp.44-45
発行日 1957年2月10日
Published Date 1957/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201351
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(1),農夫症とは
農夫症とは,日本農村医学会の私たちが唱えている中年以後の「農民に特有的に頻発すると見られる一連の症候群」であつて,今のところ一つの独立した臨床的実体とは認め難いが,このような一連の症候群を農民の名によつて取りあげることの重要性は社会問題ともなつている
中年以後の農民に特有な一連の症候群とは何か.――たしかに,東北の僻地農村の診療に従事してみれば分る.たしかに,年令のわりに老いぼれた顔つきと曲つた腰,かさかさに固くなつた手足などの諸特徴を認めないわけにはいくまい.脹つた肩,病む腰,しびれて冷える手足…….私たちがこの問題をとりあげたのも,その現実の中からであつた.それは恐らく,今までの単一な病名ではきまらないものかも知れない.或いは臨床以前のものかも知れない.原因も多種多様なものから起つているのかも知れない.然し,ともかく農民の多くがそれに悩んでいるのだ.
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