連載 新生児ケアの不思議考証 Evidence & Narrative Based Neonatal Care
第11回 電動式搾乳器
横尾 京子
1
1広島大学大学院保健学研究科
pp.169-173
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100150
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はじめに
電動式搾乳器は,助産師にとってどのような価値をもつものだろうか。母乳育児をサポートするために,必要なものとして位置づけられているのだろうか。
電動式搾乳器について知れば知るほど,かつて私が,NICUに入院した子どものために乳房に「あざ」を作ってまで母乳を搾り出そうとする母親に,「ここまでがんばったのだから」と諦めとも誉め言葉ともつかないようなことを言っていたことを思い出し,申し訳ない気持ちにさせられる。なぜ,電動式搾乳器というアイデアが浮かばなかったのか。その理由は簡単。私の中の電動式搾乳器は,母乳「吸引器」であり,乳腺を損傷させる代物にほかならず,論外だったからである。
しかし,最新の電動式搾乳器を開発した大学研究者や,企業研究部門の研究者から,電動式搾乳器の開発過程や性能を聞かされ,「日本ではこれだけ電化製品が普及しており,かつ,日本人は合理的だと思っていた。しかし,電動式搾乳器が普及しないのはなぜか」と問われたとき,私の中の無関心は関心へと変わった。
今回は,この「なぜ」を知るために実施した電動式搾乳器に関する看護者への認識調査を通して,搾乳を必要とする母親のサポートについて検討した。
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