調査報告
新聞記事から捉えたCOVID-19における保健所および保健師の対応と課題
佐々木 理沙
1
,
榊原 文
2
1西ノ島役場健康福祉課
2島根大学医学部看護学科地域・老年看護学
pp.996-1004
発行日 2021年12月10日
Published Date 2021/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201782
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はじめに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内での流行に伴い,保健所では,感染者への聞き取り,医療機関への移送,濃厚接触者のリストアップ,24時間の電話相談対応,感染者や濃厚接触者の健康観察,クラスター対策や院内感染対策,保健所管内における医療体制の整備や調整1)など,感染症に関わる業務を一手に担ってきた。時間外勤務が月180〜200時間となる保健所職員が多数存在していた時期もあり,職員の過労・疲弊を防ぎ,保健所機能を維持するための体制整備が求められている2)。
COVID-19の世界的なまん延に対し,国際公文書館会議と国際情報コミッショナー会議は共同声明により,全世界の政府,企業,および研究機関に対して,各機関の意思決定や活動を,現在と将来のために記録に残すよう呼びかけている2)。また,吉岡3)はCOVID-19に対する保健活動を記録することで,①今回の対応の改善点を明確化し,次のパンデミックに備える,②既存のシステムや業務を改善・効率化する,③保健師の役割と保健活動の成果を可視化し発信する意義があると述べている。
そこで本調査では,新聞記事を基に,COVID-19への保健所および保健師の対応の現状と,対応する中で生じた課題を整理することで,今後,対策の強化が求められること,継続して取り組むべきことを明らかにし,その具体的方策を検討することを目的とした。
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