調査報告
児童相談所における保健師の専門性と専門職との協働の実態とあり方—児童福祉司と児童心理司への調査から
仁木 敦子
1
,
杉山 真理子
2
,
伊永 真季
3
,
林 美恵子
4
,
江口 晋
4
,
植田 紀美子
5
1大阪府中央子ども家庭センター
2前大阪府東大阪子ども家庭センター
3大阪府岸和田子ども家庭センター
4前大阪府中央子ども家庭センター
5前地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター母子保健情報センター母子保健調査室
pp.500-508
発行日 2021年6月10日
Published Date 2021/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201677
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はじめに
児童相談所の設置と児童虐待相談対応件数
児童相談所は,1947(昭和22)年公布の児童福祉法1)において都道府県(指定都市を含む)に設置義務が課された。児童相談所運営指針(以下,運営指針)2)によると,児童相談所の設置目的は,「子どもに関する家庭その他からの相談に応じ,子どもが有する問題または子どもの真のニーズ,子どもの置かれた環境の状況等を的確に捉え,個々の子どもや家庭に適切な援助を行い,もって子どもの福祉を図る」とされ,その目的達成のために「児童家庭福祉に関する高い専門性を有していること」が基本的条件の一つと示されている。
全国の都道府県および政令指定都市における児童相談所は,2020(令和2)年7月現在220カ所あり,大阪府内では政令市である大阪市に2カ所,堺市に1カ所,それ以外に大阪府児童相談所(以下,府児相)として6カ所が設置されている3)。府児相6カ所の管内市町村数は41,2020年1月現在の管内人口は約528万人,0〜19歳人口は約92万人で府内の62%を占めている。
2019(令和元)年度の児童虐待相談対応件数は,全国19万3780件,うち府児相1万5753件4)であり,大阪市,堺市を除いた府児相管轄の児童虐待相談対応件数は,例年全国2〜3位の多さである。2019年度の府児相1カ所あたりの年間相談対応件数は,1800件から3300件であった。
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