特別記事
統括的な役割を担う保健師の配置について—厚生労働省の全国調査から
加藤 典子
1
1厚生労働省健康局健康課保健指導室
pp.688-691
発行日 2018年8月10日
Published Date 2018/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200997
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統括保健師の配置
2007(平成19)年3月に「市町村保健活動の再構築に関する検討会報告書」が公表された。この検討会は,1994(平成6)年の地域保健法の制定や2000(平成12)年の介護保険法の施行,2006(平成18)年の児童福祉法の改正および障害者自立支援法の制定,2008(平成20)年度から開始される特定健診・特定保健指導が医療保険者に義務付けられた背景を踏まえ,2006(平成18)年から開催された。増大し多様化する保健活動の課題に的確に対応するためには,行政主体としての役割を明確化するとともに,保健師,管理栄養士などの技術職員の活動や人材育成など市町村保健活動体制を再構築することが喫緊の課題となっているとされ,議論が交わされた。
報告書の中で,市町村保健活動の再構築に向けた推進方策として,保健師が分散して配置されている中で組織横断的な体制を構築するための統括的な役割を担う保健師の配置の必要性について示された。保健師が複数の部署に配置されている場合は,人材育成や地域全体の健康課題を明確にする観点から,保健衛生部門に技術的に指導調整する統括的な役割の保健師の配置が必要であるとされたのである。これにより,人材育成が実施されやすくなることや,地域の健康に関するニーズや課題を共有し地域の実情に合った保健活動が企画立案できること,統括者として分掌事務に明記されている場合は職種の配置決定のプロセスにも参加でき,適正配置を可能することが期待されている。
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