調査報告
地域で暮らす健康高齢者の肥満度と要介護リスクの関連
中島 絵美里
1
,
河野 あゆみ
2
,
堀田 邦子
3
,
金谷 志子
2
1大阪市立大学医学部看護学科
2大阪市立大学大学院看護学研究科
3泉大津市健康福祉部高齢介護課
pp.58-64
発行日 2015年1月10日
Published Date 2015/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200083
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要旨
本調査報告では,地域で暮らす健康高齢者の肥満度の実態を明らかにし,要介護リスクの関連を検討することを目的とし,介護予防対策のための基礎資料を得た。2012(平成24)年度のA市7地区に居住する対象高齢者6778名(100%)への自記式質問紙調査結果のうち,5256名(77.5%)を分析対象とした。調査項目は,基本属性のほか,Body Mass Index(BMI),基本チェックリストである。介護リスクは,基本チェックリストによる二次予防事業対象者割合にて検討した。
その結果,男性ではどの年代でも標準の者の割合が高く,やせや肥満の者の割合が低かった。女性では年代が高いほど標準の者の割合が低くなり,やせや肥満の者の割合が高かった。
年齢別,性別に見た要介護リスクでは,男性ではどの年代においても標準の者に比べて,やせの者で要介護リスクが高い傾向が見られた(リスク比:65〜69歳=2.92,70〜74歳=1.99,75歳以上=1.67)。一方,女性では,標準の者に比べて,やせの者に要介護リスクが高かった(リスク比:65〜69歳=2.02,70〜74歳=1.97,75歳以上=1.28)うえに,65歳〜74歳の女性では,肥満の者が標準の者に比べて要介護リスクが高い傾向が見られた(リスク比:65〜69歳=2.06,70〜74歳=1.46)。
以上より,女性の前期高齢者では肥満者に対しても介護予防対策が必要である可能性が示された。
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