研究
心のケア活動の視点から考える被災地における望ましい支援のあり方―東日本大震災被災者への面接調査からの一考察
櫻木 初美
1
,
田城 孝雄
2
1福岡県精神保健福祉センター
2放送大学大学院文化科学研究科
pp.990-997
発行日 2014年11月10日
Published Date 2014/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200042
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■要旨
目的:本研究は,心のケア活動に関わった被災者の声を通して,被災地における望ましい支援のあり方について考察し,明らかにすることを目的とする。
方法:心のケア活動に関わった被災地住民2名に2回,被災地職員2名のうち1名に2回,1名に1回の半構造化面接を実施した。また,お茶飲み会の参加者9名を対象にフォーカスグループインタビューを実施した。調査内容をデータ化し,グラウンデッド・セオリー・アプローチを参考にして,オープンコーディング,分析シートの作成を行い,キーワードを抽出した。そのうえで,カテゴリーを生成・連結し,コアカテゴリーを選定することで質的内容の分析を行った。
結果:分析の結果,被災地における望ましい支援のあり方を考えるにあたり,4つの局面のコアカテゴリーとして,①『災害時保健活動を支える土台』,②『災害時ケアの特性への理解』,③『支援者に求められる姿勢』,④『円滑な心のケア活動(災害時保健活動)体制の構築』が抽出された。
結論:心のケア活動を含む災害時保健活動は日頃の保健活動が土台となって継続されることから,災害時を見据えた地域保健活動が重要であることが確認された。また,被災地における望ましい支援は,支援者が被災者の心身の健康状態や災害時ケアの特性を理解したうえで,お互いの信頼関係を築きながら,被災者に心理的・身体的負担をかけない,自立した活動を実施するよう努めることであった。さらに,円滑な心のケア活動を展開するには,支援チームの適切な受け入れ体制や活動体制,チーム間等の的確なつなぎ(連携)の必要性が明らかになった。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.