調査報告
東日本大震災における保健所および市町村保健センター保健師の活動の困難
浦橋 久美子
1
,
齋藤 澄子
2
,
白木 裕子
3
,
松本 敦子
4
,
永井 美登利
5
,
鈴木 貴恵
6
,
下田 礼子
7
,
中原 夏美
8
1三育学院大学看護学部
2前茨城キリスト教大学看護学部
3茨城キリスト教大学看護学部
4茨城県筑西保健所
5茨城県ひたちなか保健所
6水戸市保健センター
7日立市保健センター
8北茨城市市民福祉部
pp.802-809
発行日 2014年9月10日
Published Date 2014/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664102518
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
要旨
東日本大震災時における保健師活動の困難な実態を明らかにし,今後の活動のあり方について検討することを目的とし,A県保健所および市町村保健センターで震災時に活動した保健師へ調査を実施した。有効回答率は71.5%であった。
約7割の保健師が活動中に困ったことがあり,その内容は,住民への直接的な対応,保健師の専門性,情報に関すること,活動方針の不明等であった。困りごとへの対処方法は,上司へ相談,同僚へ相談が多く,インターネットからの情報収集が保健所で有意に高かった。約5割の保健師が活動はうまくいかなかったと回答し,その原因として,指揮系統の伝達不備,情報不足,知識不足,情報伝達の不備,技術不足が多く,知識不足は市町村で有意に高く,交通手段の不備は保健所で有意に高かった。今後,気がかりな内容は,指揮系統の伝達,情報伝達のあり方,知識不足,情報収集,技術不足の順に多く,知識・技術不足が市町村で有意に高く,交通手段に関することが保健所で有意に高かった。
このような状況から,ライフライン断絶の中で積極的に情報収集していく必要性や保健所保健師の強みや震災経験を生かした研修によるスキルアップ,専門性を発揮するため防災計画へ保健師が関与していく必要性が示唆された。また,日頃から災害時の備えとして保健師個人が災害発生時を想定した自身の家族内役割等生活調整をすることも必要である。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.