- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
2011(平成23)年に保健師助産師看護師法が改正され,保健師教育期間が6か月から1年に延長されました。これまで4年制大学において卒業時に保健師と看護師の国家試験受験資格が得られていましたが,この改正に伴い,2012(平成24)年度入学生から多くの大学で保健師は学部選択制となり,一部の大学においては大学院で教育されています。この背景には,昨今の日本において人々のヘルスニーズが多様化・複雑化し,高度で質の高い保健師の実践活動が求められていることがあります。
このような流れを受けて,日本における保健師教育の方向性や教育内容について考えるうえで,諸外国の保健師教育や実践の状況が重要な参考モデルとなると思います。
日本では保健師は国家資格によるものですが,世界各国を見ても地域における公衆衛生看護活動を担う看護職がこのような国家資格を有している国は少ないようです。英国は,日本の保健師とほぼ同様の機能をもつヘルスビジターという国家資格をもつ地域看護専門職がいます。ヘルスビジターは看護師免許取得後,さらに大学において1年間の高度な専門教育を受け養成される職種です。このヘルスビジターの教育が,2011年に英国保健省が策定した増員計画(health visitor implementation plan 2011 to 2015)により,大きく変化しています。
筆者は,英国におけるヘルスビジターの教育制度・内容および活動内容について学ぶ機会を得ましたので,本誌で2回にわたって報告します。まず,第1報ではその「増員計画」について述べ,第2報では「教育制度」について述べます。
なお,本稿では以下,ヘルスビジターを「保健師」と訳して記載します。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.