調査報告
家庭訪問による産後うつ病スクリーニングにおいて訪問員が抱えるストレスとその要因
三品 浩基
1
,
菊池 由紀子
1
,
楢崎 純子
1
,
藪 恵子
1
,
木村 章子
1
,
吉山 真紀子
2
,
谷口 隆司
3
,
伊藤 正寛
1
1京都市伏見保健センター
2京都市東山保健センター
3京都市西京保健センター
pp.610-615
発行日 2012年7月10日
Published Date 2012/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101916
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■要旨
【背景】京都市では2008(平成20)年度より乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)による家庭訪問を実施し,訪問時に母親の産後うつ傾向の評価を行っている。一方,精神保健業務は精神的ストレスを抱えやすいことから,担当者のメンタルヘルスに対する配慮の必要性が報告されている。そこで今回,産後うつ病スクリーニングにおける訪問員の精神的ストレスの有無とその要因について調査を行った。
【方法】2009(平成21)年度のこんにちは赤ちゃん事業の訪問員(保健師,助産師,看護師)149名を対象とし,無記名の質問紙調査を2010(平成22)年2月26日から4月30日の期間で行った。調査内容は,うつ傾向のある母親に対応する際の訪問員のストレスの有無とその要因,母児の面接に要する時間(分),回答者の特性(年齢や職種など)である。
【結果】回答者は70名(回答率47%),母児の面接に要する時間は平均72分(range:40-120)であった。12%がうつ傾向のある母親への対応に「とてもストレスを感じる」と回答し,58%が「少しストレスを感じる」と回答した。ストレスの要因として回答が多かった上位3項目は,「うつ傾向に対処するための知識,技術に自信がない」「フォローアップ経路への不安」「重症度の判定が困難」であった。
【結論】約7割の訪問員が母親のうつ傾向への対応に精神的ストレスを抱えていることが示唆された。ストレスの要因から,面接技術の向上や母親のフォローアップ経路の確立などが重要と思われた。
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