調査報告
1歳6か月児健康診査の事後指導教室「なかよし教室」27年目の現状と成果―保護者の子どもへの関わりと満足度から
長尾 秀夫
1
,
三好 幸子
2
,
吉野 あゆみ
2
,
山口 美晴
2
,
松尾 彩
2
,
岸畑 直美
2
,
中村 清司
2
,
近藤 弘一
2
1愛媛大学教育学部
2松山市保健所
pp.810-817
発行日 2011年9月10日
Published Date 2011/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101693
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■要旨
松山市が1982(昭和57)年度から実施している健診後の教室を振り返り,保護者の子どもへの関わりの変化と保護者へのアンケート調査結果をもとに教室の成果と今後のあり方について検討した。対象は2008(平成20)年度に教室を終了した41組の子どもと保護者である。
方法は,教室開始時と終了時に,①保護者の子どもへの関わりをスタッフが4段階で評価,②保護者アンケートⅠは保護者が育児についての意識を4段階で評価,③保護者アンケートⅡは保護者が教室についての感想を自由記述した後,満足度を4段階で評価した。結果,①保護者の子どもへの関わりは6項目すべてで0.38~0.65の上昇があり,統計学的にも有意であった(p<0.01)。②保護者アンケートⅠでは,「育児は有意義である」,その他3項目で上昇,他の4項目は不変,3項目は低下していた。③保護者アンケートⅡの自由記述では,満足とやや満足を合わせると78.6%となり,「子どもの成長を実感できた」が最も多かった。
保護者の子どもへの関わりの改善は10年前の調査結果と同様,教室は継続して成果をあげていた。また,新たに取り組んだ保護者アンケートにより,教室が育児満足度の上昇につながっていることがわかった。しかし,一部の保護者は育児満足度が低く,彼らの共通点は育児の悩みを相談できる人がいないことであった。今後は育児における家族の協力の重要性を啓発し,教室や関係機関は安心して相談できる場となるような工夫や改善が必要である。
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