連載 知っておきたい,これからのメンタルヘルス・8
がん患者へのグループ療法ファシリテーターの養成プログラム
保坂 隆
1,2
1聖路加国際病院精神腫瘍科
2聖路加看護大学大学院
pp.722-726
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101673
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がん患者へのグループ療法をご存知でしょうか
サイコオンコロジーの領域でも,グループ療法によって免疫機能が増強したり,再発率・死亡率が低下して,延命効果があることが報告されてから,このテーマは関心を集めてきました。
スタンフォード大学のSpiegelは,遠隔転移を起こした乳がん患者を数名ずつのグループに分けて,毎週1回ずつ集団精神療法を行いました。このような集団精神療法を1年間続けた群と,それを受けなかった群をその後10年以上経過を観察して比較したところ,平均生存期間が介入群36.6か月,対照群18.9か月と,約2倍に延長していたそうです1)。米国だけでなく世界中で現在この研究に関する追再試が行われ,それを肯定するものと否定するものが出はじめています2,3)。最近のKissaneによる追試結果によっても,生存期間を延長する効果はなく,うつ病を軽減・予防したり,絶望的な気持ちを緩和して社会的な機能を改善することには効果的であったことが報告されています4)。
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