調査報告
地域職域連携で進める小規模事業場労働者のメンタルヘルス対策,うつ予防対策―うつ状態の評価と関連要因の検討から
原田 小夜
1
,
奥井 貴子
1
,
寺尾 敦史
1
,
大井 健
2,3
,
宮脇 宏司
4
,
田中 良勝
5
1滋賀県南部健康福祉事務所(滋賀県草津保健所)
2滋賀県精神医療センター
3元滋賀県南部振興局地域健康福祉部
4ふぉりせ心理ストレス相談室
5大津地域産業保健センター
pp.764-770
発行日 2009年9月10日
Published Date 2009/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101261
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■要旨
小規模事業場労働者のメンタルヘルス対策,うつ予防対策の課題について検討することを目的に圏域内の従業員数10人以上50人未満の123事業場労働者2992人を対象に自記式アンケート調査を行った。うつ状態の評価にはZungの自己評価式抑うつ尺度(Self-rating depression scale;以下SDS)を用いた。回収者数は1013人(回収率33.9%)で,有効回答者数は915人(有効回答率30.6%)であった。
対象者のうつ状態(SDS値)は軽度抑うつ以上が55.0%と多く,SDS平均値は40.3(標準偏差=8.6)と,他の調査と比較して高い値を示した。年齢別では29歳以下と40歳台のSDSの平均値が高かった。同居家族の有無,仕事の満足度,職場内相談者,職場外相談者の有無でSDS値に有意な差がみられた。また,時間外労働時間80時間以上の者で抑うつの割合が高かった。
小規模事業場労働者のメンタルヘルス対策,うつ予防対策においては,①地域での健康づくりの啓発活動への積極的な参加勧奨,②職場での孤立化予防の取り組み,③自己のソーシャルサポートを意識するセルフケアへの取り組み,④ハイリスク年齢や長時間労働者への対応の4点が必要であると考えた。今後も地域から職域への積極的な働きかけを継続していきたい。
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