調査報告
A県内市町村の防災担当者が保健師に期待する防災や災害時の役割とその課題
藤井 誠
1
,
橋本 結花
2
1前高知大学医学部看護学科
2高知大学医学部看護学科
pp.706-711
発行日 2007年8月10日
Published Date 2007/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100830
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■要旨
災害への備えとして個人の準備や防災対策が求められるが,住民の生命や財産を守るという点で,行政の果たす役割は重要だと考える。そのようななかで,地域住民の生活や健康に関する対応は保健師に期待されている。しかし保健師は行政組織の一員であるため,基本的には各市町村の方針や計画により活動することになる。そのため,保健師の想定している役割と,防災担当者が保健師に期待する役割の間に差があるのではないかと考えた。
そこでA県の各市町村の防災担当者に,防災や災害時の保健師に期待する役割とそれを果たすための課題を明らかにするため調査を実施した。調査は郵送法による自記式質問紙調査を実施し,45市町村すべてから回答を得た。単純集計の後,保健師の役割については,各項目間の関係性を探るため因子分析を行った。
A県において,市町村防災会議に保健師を含んでいるのは3市町村であった。防災担当者が防災・災害時に期待する保健師の役割は,「避難者の健康チェック」「被災者の健康管理」などの健康・保健ニーズや,「救急処置」などの医療ニーズが多かった。加えて,保健師には「災害医療マニュアルの作成」「防災知識の普及」などの防災に関する役割を果たし,災害発生前の活動をアピールすることが求められた。また,保健師への災害看護・医療に関する教育や研修を実施・配慮しているのは11市町村であり,時間や財政面の調整と支援,さらに保健師自身の研鑽が必要であることが示唆された。
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