特集 公衆衛生と危機管理
公衆衛生と防災活動
篠崎 英夫
1
,
大井 秀夫
2
,
小林 浩三
2
Hideo SHINOZAKI
1
,
OOI・Hideo
2
,
KOBAYASHI・Kohzo
2
1静岡県衛生部
2静岡県衛生部医務課
pp.76-81
発行日 1988年2月15日
Published Date 1988/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207611
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■はじめに
静岡県は,伊豆半島を除けばおおむね海岸線を底辺として,北方の南アルプスと富士山を頂点とするほぼ三角形の地形をし,多くの大河川を有しているため,過去には幾多の水害に悩まされてきた.また,地質的には糸魚川—静岡構造線があり,山崩れも発生しやすい地帯となっている.行政としては種々の防災対策を講じているが,東海地震を始め災害を予期・予測することは非常に難しいので,ここに防災行政の困難性がある.
昨年11月,伊豆大島三原山の大噴火に伴い,東京都より静岡県に対し,大島住民等の避難に関する応援要請があった.静岡県は直ちに庁内関係各課,出先機関,関係市町とで連絡体制を作り,避難住民の受け入れ準備を整え,輸送のための交通手段の確保,保健所,日赤を中心とした応急医療の確保(救護本部の設置,毛布の手配等),非常用食糧の確保等の対策を講じた.避難住民は延べ3,156人にのぼり,収容施設32カ所を数えた.避難住民は,入院治療を必要とする者を除き,ほとんどの者が避難した日の翌々日までに東京都へ移送された.静岡県の救護本部等の動員状況は,県関係73人,県警関係97人,市町839人の計1,009人であった.三原山噴火のケースでは,比較的円滑に救援体制がとられたが,これも平時における具体的防災対策によるところが大きいと考える.
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