連載 「健康格差社会」への処方箋・6
「遅ればせの教訓(Late Lessons)」に学ぶ
近藤 克則
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.268-273
発行日 2007年3月10日
Published Date 2007/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100775
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前号では,現在常識となっている考え方が,「仮説」として登場し,それが科学的な方法で「実証」されるのに,長い時間がかかることなどを紹介した。取り上げた題材が,地動説や進化論,そしてWHOの健康政策であったため,「話題とすべき世界が違う」と思われた読者がいたかもしれない。そこで,今回は,高血圧治療や生活習慣病対策,水俣病やアスベストなど,健康や疾患に直結する例を補足する。それを通じ,「仮説」にもとづいて試しに行われてきた(いる)治療法・予防法が多いこと,エビデンスとして実証されるまでにいかに長い年月が必要であるかを明らかにしたい。
そして,これらの歴史的事実を踏まえたとき,社会疫学が警告する劣悪な社会的環境が健康に及ぼす危険と対策,その効果について,十分なエビデンス(科学的根拠)が確立されるまでの間,私たちはどのように対応すべきなのか。今回は,この問題を考えてみたい。
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