特集 懸賞論文結果発表
エッセイ部門 テーマ:私のB面
佳作
新米母親保健師
藤田 優子
1
1紫雲寺町役場福祉保健課
pp.761-763
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100544
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16歳,高校2年生。ニキビ面で私を見下ろす。身長182cmが近づいてくるとヒップが私のお臍くらいにある。まあ,なんとも脚の長いイイ男!!(親バカ)これが,私の1人息子である。
私は保健師になるために,離婚後,公衆衛生看護専門学校を受験した。私の記憶では,広い試験会場に定員の約7倍以上の受験生がひしめいていた。保健師への道と同時に,私たち親子2人の人生を切り開くための試験に臨んだ。そして,忘れもしない11年前のあの日,私は合格発表を誰にも言わず1人でコッソリ見に行った。30歳もすでに過ぎた受験生の番号を確認するためには,年甲斐もなくドキドキする自分の動揺が恥ずかしくて,1人でコッソリ見に行きたかった。それと,自分の力を最終確認するためには,1人がよかったからだ。帰りの車の助手席には,自分で買った真っ赤なバラの花束が乗せられていた。合格した自分へのささやかなご褒美であった。
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