特集 懸賞論文結果発表
論文・活動報告部門 テーマ:コミュニティ活性化に保健師の技術を役立てる
佳作
保健師の地区活動からのコミュニティ活性化―障害者の社会参加をめざして
山口 康子
1
1千葉県銚子市役所民生部健康管理課
pp.751-754
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100538
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脳卒中後遺症患者たちとの出会い
1981年に市保健師として就職し,行政の実施するさまざまな事業を経験していくにつけ,健康づくり活動の幅広さに圧倒され,業務をこなすだけで精一杯の日々が続きました。
そのようななかで,訪問活動のケースとして脳卒中の後遺症患者と出会いました。
訪問を始めてしばらくの間は,リハビリを主とした療養指導を目的に支援していました。しかし,この訪問活動には終わりがなく,しだいに同様の訪問ケース(対象者)が増えていき,同じことのくり返しで片麻痺や言語障害の改善に大きな変化が望めないなか,自分の訪問活動にいき詰まりを感じるようになっていきました。
同じ小学校区の中に点々と存在するケースは皆,地域との接点に乏しく,病院と自宅の往復以外は自宅にひきこもり,病院で指導されたリハビリメニューをコツコツと自主トレーニングしているといった共通性がありました。彼らが元気であった頃のことを聞くと,旅行好きであったり,地域で活発な活動をしていたり,社会的地位の高い方であったりと,だれもが地域でいきいきと暮らしていたことを懐かしく表情豊かに語ってくれました。ケースの話を聞きながら,自分の訪問目的を再考してみると,療養指導が最大の目的ではなく,障害をもちながらも元気であった頃のように地域の人々と豊かな交流をもちながら暮らせるようになることをめざすことが必要ではないか,と思うようになりました。それをきっかけに自分の担当している脳卒中後遺症者すべての目標を「地域で普通に暮らせるようにすること」にして活動することにしました。
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