Japanese
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Editorial
QOLと生命予後―日々よく生きることが長生きすること
QOL and life expectancy
石井 均
1
1天理よろづ相談所病院内分泌内科
pp.565
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100489
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希望に生きるものはつねに若い.(三木清『人生論ノート』)
血液透析によって,末期腎不全患者が延命できるようになってからほぼ40年が経過する.その間,各種の技術的進歩によって生命予後は着実に改善してきた.その一方で,生命予後の延長は得られたものの,患者の生活の内容は必ずしも期待通りになっていないという報告がみられるようになった.すなわち,透析療法中の患者は,歩くことなど基本的な身体機能が低下しており,精神的にも不安や抑うつ状態が多く,仕事への復帰も思うようには進んでいないというものである.
これらの,1)身体機能,2)日常活動や役割機能,3)社会的機能,および4)精神的機能を一括してQOL(Quality-of-life)と呼んでおり,末期腎不全患者ではQOLが低下しているのである.QOL測定法の一つであるSF 36を用いた研究では,とくに身体機能,役割機能,健康感の低下が著しい.基礎疾患として糖尿病を持つ患者では,さらにQOLは低下している.これは網膜症や神経障害の合併がその原因であり,さらに脳血管障害などが加わるとQOLは極端に低下する.
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