連載 『保健婦雑誌』52年の軌跡から・7
保健婦活動の原点・家庭訪問―歴史的変遷からみえてきたこと
北岡 英子
1
1神奈川県立衛生短期大学専攻科
pp.186-192
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100451
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はじめに
家庭訪問は保健婦活動の基本であり,重要な活動といえる。歴史的にみても,日本での保健婦活動のはじめはまず家庭訪問であった。
地域保健法が施行されて以降,各自治体で機構改革がすすめられ,多くの保健所では保健婦を各分野に分散して配置するようになった。他職種とともに全管轄地域を担当することになり,専門性が深まる一方で,ルーチンの仕事で手一杯の状況になっている。
その結果,比較的保健婦自身の自由裁量で決定できる家庭訪問の時間が削減される傾向にある。さらに最近は,「新人保健婦が家庭訪問に尻ごみしている」など,対人関係能力が問われる家庭訪問を敬遠するむきもあり,本誌の2003年1月号(59巻1号)にも「もう,家庭訪問で悩まない」という特集が組まれるに至っている。
どのような時代になっても,むしろ近隣の人間関係が希薄になっている世の中だからこそ,対象者の生活に密着した関わり,個人個人への対応が不可欠であると考える。
そこで,家庭訪問の意義と実際を歴史的に振り返ることで,今後の家庭訪問のあるべき姿を考察してみたい。
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