連載 ゲイ男性の抱える苦悩 3
HIV感染症とB型肝炎・梅毒の発生動向
日高 庸晴
1
1京都大学大学院医学研究科
pp.756-760
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100313
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世界のHIV/AIDS感染拡大状況
国連エイズ合同計画(UNAIDS)1)によれば,2005年末現在の世界のHIV感染者(成人・子ども)の推計は4030万人(中央値)であり,感染者数が最も多いのは,サハラ以南アフリカの2580万人である。次いで多いのが,南アジア・東南アジアの740万人,ラテンアメリカの180万人,東ヨーロッパ・中央アジアの160万人である。日本を含む東アジアは87万人と報告されており,HIV感染の拡大は世界中に及んでいて,その深刻さが示されている。また,2005年の1年間における新規HIV感染者は490万人,エイズによる死亡者数は310万人と見積もられている。
HIV感染の脆弱性の高さの背景には,貧困などの経済的な問題,宗教,文化,ジェンダー格差などがあり,またそれらに関連した心理・社会的抑圧状態などさまざまな要因が複雑に絡み合っている。わが国はアフリカ,南・東南アジア諸国と比較すればHIV低流行地域であるといえるが,ゲイ・バイセクシュアル男性に限ってみれば感染拡大の様相はかなり深刻な状況である。
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