連載 HIV/AIDSケア 再考・3
国内におけるHIV感染者の発生動向と検査体制
高野 操
1,2
1国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター
2エイズ予防財団「エイズ予防のための戦略研究」
pp.582-587
発行日 2007年6月1日
Published Date 2007/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101025
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1年間に新たに診断された感染者の数は,2004年に1000件を超え,速報値によると2006年の新規HIV感染者報告数は914件,新規AIDS患者報告数(HIV診断時にAIDSを発症していた患者数)は390件,合わせて1,304件1)であり,過去最高を記録する見込みである(図1).国内における新規HIV/AIDS患者は増加の一途であり,減少する兆しはない.6月以降に確定値が発表されるので,正確には確定値を参照されたい.
速報値による2006年の新規HIV感染者で最も多い感染経路は,同性間の性的接触63.1%で(図2),次いで異性間の性的接触24.1%,母子感染0.1%,静注薬物濫用0.4%,その他・不明12.3%である.新規AIDS患者報告数で最も多い感染経路は,同性間の性的接触40.5%,異性間の性的接触は34.4%,静注薬物濫用0.8%,母子感染0%,その他・不明が24.4%である.
2006年新規にHIV感染が判明した1,304件のうち,診断時にAIDSを発症していた症例は29.9%であり,日本では約3割の患者がAIDS発症をきっかけにHIV感染が判明していることになる.診断時にAIDSを発症していた症例の割合が最も高かった2000年の41.6%と比較すると,低下傾向にあるとも解釈できるが,さらに改善する必要がある.
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