歩いていく日々 旅の仲間・1
夏・冬
菅田 恵子
pp.436-440
発行日 1978年7月25日
Published Date 1978/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907229
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—夏—
京都から2時間半ほど汽車に揺られると,北陸の色濃い丹後へと出ます.日本海とはいえ,天の橋立ての内海は嫋やかです.
山道を子連れで登るのは,なかなか興奮させられます.平べったい道路を歩き慣れている信一は,ゆらゆら繁った羊歯(しだ)で隠れている切り通しの端に,落ちかからんばかりに歩くのですから.道の両側に,みっちり生え出した針葉樹から木洩れ日の網目模様が投げかけられ,肌は熱く,しかもひんやりした空気が汗をかかせません.
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