ある小児科医の手記
今,私は歩きはじめた—その2
日下 隼人
1
1東京医科歯科大学医学部小児科学教室
pp.317-324
発行日 1976年5月25日
Published Date 1976/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906990
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3.白血病のこと(1)
私は現在,自分が卒業した大学の小児科に籍を置いている.医者になった初めのうちは特にどの疾患を中心に診るということもなかったけれど,だんだん血夜疾患の子供と付き合うようになった.大学病院の小児科で診る血液疾患という場合,その中心はやはり白血病である.小児の白血病は,確かに年々増えてきているようである.
ただ一方で癌センターや小児病院のような専門病院も最近では続々と増えてきているので,私がいる病院に来る白血病の子供たちの数はそれほど増えてもいないし,絶対数も多くはない.それに私はまだ駆け出しの医者で,小児の血液疾患を専門にしている先輩の医師たちからみればほんの‘ハナタレ小僧’にすぎないだろう.だからというわけでもないけれど,ここでは学問的なことでなく,‘私と血液疾患の子供との付き合い’ということについて考え直してみたい.
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