特集 世界の看護教育制度
タイ王国
Santimalapong Lee Lee
1
1Bankok Adventist Hospital
pp.730-734
発行日 1974年11月25日
Published Date 1974/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906831
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Ⅰ.概況
タイ王国(以下,タイと略す)における近代に至るまでの医療と看護の発達は,他の国々となんら変わるところがないと思われる.病人の多くは,薬草を扱う人とか僧医によって治療をうけるのが常であった.病気はすべて悪霊のなす業だとの考えであったし,今日においてさえそのような考え方が根強く残っている.
タイにおいて,病人のために病院を建てようという考えは,実に1886年まではなかったのである.これ以前の病人は,すべて家庭においてみとられていた.先に述べたような,薬草医の処方する草や木の根による治療をうけていたのである.今日でさえ,地方に行けばまだそのような治療法が横行し,町の中においてさえみられ,早期に適切な治療をうける機会を失う人も多い.今日,医療行為を行う者は政府の許可が必要であり,無資格の薬草医はかなり減少しているが,全くないとはいえない.
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