教育技術ゼミ
スタイルのめやす—分布の特性値
小栗 貢
1
1東邦大学
pp.370-374
発行日 1972年6月25日
Published Date 1972/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906599
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前回は,得られたデータの性質を理解・把握する方法として,図表化して整理する技術を扱った.得られたデータの集合は,度数分布表をもとに,グラフや図表で示してみると,様々なスタイルを呈し,それにより直感的に分布のようすを把握するのに役立つ,ということであった.物理や数学の問題でも,とにかく核心を図で表わすことができればシメたものであるように,混沌としたデータを図示してみることは,今後の統計操作の大切な準備作業であり,時には高次なアイデアがひらめくという,棚からボタモチにもありつけることもある.
しかしながら,そのようにグラフや図表で視覚に訴える方法は,アプローチの有力な基礎段階という意味では重要であるが,単にそれだけでは分布のようすの理解にとどまらざるを得ない.スタイルをいちべつして,MサイズかLサイズか,ノッポかチンチクリンかといった見当しかつかない.そこで,この視覚的な直感に訴える方法から一躍して,分布のスタイルを測るモノサシを考案し,理性に訴える方法を考えようというわけである.モノサシで測られたメモリは数量的なものであるから,いうまでもなく数学的論理の展開にのっかってくる.それは,あたかも,スタイルを示すのに,B,W,……等のめやすが用いられるように,分布の性質を示そうとする特性値である.読者はすでに,そのうちのいくつかは熟知しておられると思うので,記号で抽象的に総括し,それらの意味づけに重点をおいて述べよう.
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